チケット高額転売規制法が成立ー感動ビジネスを守る法律と知っておくべきルール




2018年12月4日に衆議院にて可決、次いで12月8日に参議院本会議で可決、成立しました。

この法律は2019年6月14日より施行される見込みです。

コンサートや演劇、スポーツの試合など、エンタメ興行のチケットを興行主の承諾を得ずに、不正に高額転売することを禁ずる法律で、この法を犯すと1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方が課せられるというもの。

これは言うまでもなく、エンタメという”感動ビジネス”を守るために必要な法律であり、

12月8日に開かれた参院本会議では、
「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案」が、
全会一致で可決されました。

優れたコンテンツを生み出している興行主やパフォーマー、
そのチケットを購入し観客となることでそのパフォーマンスを完成させる消費者。

その双方にとってチケット買い占め、高額転売を行う、いわゆる転売ヤーは、
何の価値も生み出さずに不正にお金を得ている
と言わざるを得ません。

この法律の決議を無駄にせずエンタメ興行の健全化を図る為にも、
チケット高額転売を防ぎ、エンタメを守る興行主、観客の徹底した意識と、
この法律に関して最低限知っておくべきことをまとめます。

チケット転売の闇

日本のチケット転売といえばかつて最も目についたのがダフ屋。

興行開催会場周辺で、ソールドアウトのチケットを定価よりもはるかに高額で売ることで利ザヤを拾う行為。

ただしこういったスタジアム周辺でチケット売買行為をしているようなダフ屋の売り上げは暴力団の活動資金にもなっており警察が厳しく規制した背景もあり、
また都道府県の迷惑防止条例などで定められるようになり、違法行為となりました。

そこで台頭してきたのがインターネット上のプラットフォームを用いたチケット転売。

オークションサイトをはじめとして、チケット救済サイトや、CtoCでのやりとりができるメルカリの台頭などで急速にシェアを広げました。
またチケットキャンプのテレビCM放映なども経て、興行主催者を通さないチケット売買行為が一般化。

ただし、ダフ屋行為の迷惑防止条例がない都道府県もあり、
さらにダフ屋迷惑防止条例にあたる都道府県の「公共の場所」に当てはまらないと解釈されうるネット上の転売行為を明確に禁止する法律が存在しなかったのです。

また、急用で行けなくなった方のチケットを救済して興行の空席を避けるなどの効用を考えても、チケットの二次流通には必要性があるということもあり、グレーな領域であったことは間違いありません。

チケット二次流通市場規模は500億円ともいわれ、チケットを購入できる観客の数が限られているエンタメ興行において、人気チケットがプレミア化するのは必然。
需要と供給のギャップにつけこんだ転売ヤーが横行しました。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け国際オリンピック委員会からの規制要望

このような状況下で、東京オリンピック、パラリンピックの興行としての健全性を担保できるのかと問われれば、「困難である」と答えざるを得ないー

実際に国際オリンピック委員会からの規制を求められてきたことも、
このチケット高額転売規制法の施工を大きく後押ししたと考えられます。

2016年のリオ五輪では、インターネットによる組織的な転売で、開会式のチケットが定価の8倍超の金額で流通していたことが問題化しました。
転売の疑いがある約2000枚の入場券が無効処分になりました。

また、国際オリンピック委員会の理事がチケット売買会社にチケットを横流ししていたことが発覚し、逮捕される事件もありました。

嵐やサザンオールスターズなど100組以上のアーティストと日本音楽制作者連盟など4つの業界団体が、高額転売に反対する共同声明も発表。

参照:http://www.tenbai-no.jp/

このような前例もあり、東京オリンピック・パラリンピックにおけるチケット高額転売を明確に違法と定める法律は待望でした。

チケット高額転売規制法について知っておくべきこと

この法律がついに施行されることで、
エンタメ産業の健全な発展の環境が整う第一歩となることが期待されます。

正しく法律を知り、エンタメ興行チケットを金儲けの道具と見ている転売ヤーの転売行為遂行をさせないようにする知見が、興行主、観客双方に求められますね。

その概要は以下の通り。

・「特定興行入場券」が対象
(特定興行入場券=主催者により「転売禁止」の旨が明記され、本人確認等の転売対策がなされた紙・電子チケット)
・販売価格を超える、業としてのチケット転売を禁止
(「業として」=反復継続し、社会通念上、事業の遂行とみることができる程度のものをいう)
・罰則は1年以下の懲役または/及び100万円以下の罰金
・法律の施行は2019年6月を予定

まず特定興行入場券は

(1) 興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に(i)同意のない有償譲渡を禁止し、(ii)入場資格者又は購入者の氏名・連絡先を確認した上で、(i)(ii)が券面などに表示されているもの

(2) 興行の日時・場所のほか、入場資格者又は座席が指定されているもの

というのが要件になります。

入場資格者が指定された入場券:入場資格者の名前・電話番号やメールアドレスなどの連絡先
座席が指定された入場券:購入者の氏名及び連絡先

の明示が要件となり、これを満たしていないチケットやプレミアの付きやすい公演グッズなどは対象にはならないと考えらえれます。

次に、業としての部分ですが

(a) 業として、興行主やその委託を受けた販売業者の事前の同意を得ないで、販売価格を超える金額で有償譲渡すること(不正転売)

(b) (a)の目的で、譲り受けること(不正仕入)

を指します。

業として:「反復継続の意思をもって」いわゆる転売ヤーとしてチケットとして継続的に利益を得ようとして不正に転売することは違法となります。

また不正に転売することを目的に仕入れをすること自体が違法です。

なのでもちろん、本当に観客としてエンタメを消費することを目的に購入し、
急用で行けなくなってしまったチケットを定価よりも安くネット上で転売することは合法
です。

とにかく興行主の販売価格を超えた取引は不可となるので、興行を行ったものが適正な利益を受ける、
興行に関わっていない者が不正に利益を受けている状態を是正するというエンタメ興行の健全化にとって重要な環境を整えるために必要な法律ですね。

この法律の施行により徐々にチケットはこの法案の対象になるような整備が行われていくことが期待されます。

私たちにできることは、

興行主:チケットの争奪戦が予想され、不適格な利益を享受する者がでてくる恐れのある公演を打つ場合は必ずチケットをこの法案対象になるよう整備をする。

観客:チケットを購入した対価が適正な販売元に対する対価であるかを自問する習慣を持つ。転売ヤーや利ザヤ目的の業者にお金を払ってもコンテンツが発展することにはつながらず、パフォーマンスを育てていく役には立ちません。

セルフドアは、
正しい知識と高い意識で、エンタメ興行を健全に発展していく基盤作りに尽力することを目指していきます。

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